
関心の研究領域は、実存哲学、倫理学、政治哲学、宗教哲学になります。
哲学の中での地域や時代に関しての専門は、西田幾多郎を中心とした「京都学派」という20世紀の「近代日本哲学」になります。それは、仏教などの日本思想を無意識的・意識的な基礎としつつも、西洋哲学との格闘によって成立しました。そのため西洋哲学とどう格闘し、オリジナルな思想を形成していったか、その現代的意義を研究しています。
最近は、西田の弟子の宗教哲学者・西谷啓治の研究に取り組み始めています。専門は日本哲学ですが、ハイデガーやアーレントをはじめとした西洋哲学に強い関心をもっており、一人の思索者としては、日本哲学に囚われずに物事を考えようとしています。
2022年頃までの西田研究の成果は、単著『西田幾多郎の行為の哲学』(ナカニシヤ出版、2023年、田辺元賞)として出版しました。後年の西田の「行為」の哲学を内在的に整理するとともに、ハイデガー、マルクス、キルケゴール、ドストエフスキーからの西田への影響、民藝の思想家・柳宗悦との思想交流などに焦点を当てて、その哲学の本質と意義を考えたものです。
近代日本哲学とドイツ哲学を中心に、また前近代の東洋・日本思想にも目配りをしながら、さらに現代世界の具体的な諸問題にも目を向けながら、独自の哲学研究を切り開いていきたいと思っています。