2025/05/30 更新

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ワタナベ コウゾウ
渡辺 幸三
Watanabe Kozo
所属
先端研究院 沿岸環境科学研究センター 教授
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教授
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プロフィール

ゲノム解析を活用して、東南・南アジアを中心に生態系保全やワンヘルスに資する以下の研究を展開:

【1.生物多様性】水環境中の生物(水生昆虫・ナマコ・魚、細菌)や環境DNAの生物多様性の評価や進化の理解

【2.蚊媒介感染症】熱帯・亜熱帯におけるデング熱・マラリアなどの蚊媒介感染症の生態学的制御

【3.薬剤耐性菌】病院、家畜、養殖魚から水環境に至るまでの薬剤耐性遺伝子の発生と伝播に関する研究

【4.環境ウイルス】下水中の既知&未知の病原性ウイルスの早期検出と、ファージ療法による病原性細菌の制御

キーワード: 次世代シークエンシング,バイオインフォマティクス、水環境、生物多様性、蚊媒介感染症,熱帯医学、薬剤耐性菌、環境ウイルス

外部リンク

学位

  • 博士(工学) ( 2005年3月   東北大学 )

研究キーワード

  • デング熱

  • 熱帯感染症

  • 次世代シークエンサー

  • 土木環境システム

  • 河川生態学

  • 生物多様性

  • 薬剤耐性菌

  • 環境ウイルス

  • 集団遺伝学

  • 底生動物

  • 進化生物学

研究分野

  • 社会基盤(土木・建築・防災) / 土木環境システム

  • 環境・農学 / 自然共生システム

学歴

  • 東北大学   工学研究科   土木工学専攻 博士後期課程

    2002年4月 - 2005年3月

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    国名: 日本国

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  • 東北大学   工学研究科   土木工学専攻 博士前期課程

    2000年4月 - 2002年3月

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    国名: 日本国

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  • 東北大学   工学部   土木工学科

    1996年4月 - 2000年3月

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    国名: 日本国

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経歴

  • 愛媛大学ーパジャジャラン大学国際共同研究ラボラトリー(インドネシア拠点)   拠点長

    2023年9月 - 現在

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    国名:インドネシア共和国

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  • 愛媛大学   沿岸環境科学研究センター(CMES)   国際・社会連携室 室長

    2021年4月 - 現在

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    国名:日本国

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  • 愛媛大学   沿岸環境科学研究センター (CMES) 生態・保健科学部門   教授

    2020年4月 - 現在

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    国名:日本国

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  • 愛媛大学ーデ・ラサール大学国際共同研究ラボラトリー(フィリピン拠点)   拠点長

    2019年11月 - 現在

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    国名:フィリピン共和国

    備考:https://eudlsu-icrl.weebly.com/

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  • 愛媛大学   大学院理工学研究科   教授

    2017年4月 - 2020年3月

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  • 愛媛大学   大学院理工学研究科   准教授

    2012年4月 - 2017年3月

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  • Leibniz-Institute of Freshwater Ecology and Inland Fisheries (IGB),ドイツ   EU Marie-Curie Research Fellow

    2010年4月 - 2012年3月

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  • Leibniz-Institute of Freshwater Ecology and Inland Fisheries (IGB),ドイツ   日本学術振興会海外特別研究員

    2009年4月 - 2010年3月

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  • 東北大学   工学研究科   日本学術振興会特別研究員(PD)

    2006年4月 - 2009年3月

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  • 東北大学   未来科学技術共同研究センター   特任教授(客員)

    2023年4月 - 現在

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    国名:日本国

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  • Berlin Center for Genomics in Biodiversity Research, Germany   客員教授

    2017年8月 - 2017年10月

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  • De La Salle University, Philippines,   Biological Control Research Unit (BCRU)   客員教授

    2017年4月 - 現在

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  • De La Salle University, Philippines,   Biology Department,   Visiting Scholar

    2015年10月 - 2017年3月

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  • 東北大学   工学研究科   研究支援者/教務補佐員

    2005年4月 - 2006年3月

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  • 東北大学   工学研究科   日本学術振興会特別研究員(DC1)

    2002年4月 - 2005年3月

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委員歴

  • Landscape and Ecological Engineering   Editor  

    2024年4月 - 現在   

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    団体区分:学協会

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  • 日本水環境学会   幹事  

    2024年4月 - 現在   

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    団体区分:学協会

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  • Aquatic Sciences   Editorial Board  

    2022年5月 - 現在   

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    団体区分:学協会

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  • The Borneo Journal of Medical Sciences   Editor  

    2021年6月 - 現在   

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    団体区分:学協会

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  • 応用生態工学会   国際交流委員会 委員  

    2020年4月 - 2022年3月   

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  • 土木学会 四国支部   国際問題研究委員会 委員  

    2020年4月 - 2021年3月   

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  • 日本水環境学会   WET部会 部会員  

    2019年6月 - 現在   

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    団体区分:学協会

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  • 土木学会   四国支部幹事  

    2019年6月 - 2021年6月   

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    団体区分:学協会

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  • 応用生態工学会   国際交流委員会 委員長  

    2018年4月 - 2020年4月   

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    団体区分:学協会

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  • 日本水環境学会   運営幹事  

    2017年5月 - 2024年5月   

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    団体区分:学協会

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  • 日本水環境学会   WET部会 部会長  

    2017年5月 - 2019年5月   

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    団体区分:学協会

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  • 日本水環境学会   WET 部会 運営委員  

    2016年8月 - 2017年4月   

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  • 土木学会   土木学会論文集G分冊小委員会 委員  

    2016年6月 - 2018年6月   

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    団体区分:学協会

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  • 応用生態工学会   国際交流委員会 委員  

    2016年4月 - 2018年3月   

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    団体区分:学協会

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  • 土木学会   環境賞選考委員会 委員  

    2015年8月 - 2017年4月   

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    団体区分:学協会

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  • 土木学会   環境工学委員会 委員兼幹事  

    2015年5月 - 2019年3月   

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    団体区分:学協会

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  • Benthological Society of Asia (BSA)   Executive Board Members  

    2014年5月 - 現在   

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    団体区分:学協会

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  • 土木学会   土木学会誌編集委員会 委員  

    2013年6月 - 2015年6月   

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    団体区分:学協会

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  • 国土交通省   鳴子ダム水質保全対策委員会 委員  

    2013年4月 - 2016年3月   

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    団体区分:政府

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  • 財団法人リバーフロント整備センター   DNA多型分析技術応用研究会 委員  

    2006年4月 - 2008年3月   

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    団体区分:その他

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論文

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書籍等出版物

  • Health in Ecological Perspectives in the Anthropocene

    Carvajal, T. M, H. T. Ho, L. F. T. Hernandez, K. M. Viacrusis, D. M. Amalin, K. Watanabe( 担当: 共著 範囲: An Ecological Context towards Understanding Dengue Disease Dynamics in Urban Cities: a Case Study in Metropolitan Manila, Philippines)

    Springer  2018年11月  ( ISBN:9789811325267

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    総ページ数:159   記述言語:英語   著書種別:学術書

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MISC

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講演・口頭発表等

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受賞

  • 水環境国際活動賞(いであ活動賞)

    2021年3月   公益社団法人 日本水環境学会   東南アジアの蚊媒介感染症を制御する水環境管理のための国際協力の促進

    渡辺幸三

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  • 平成26年度地球環境優秀講演賞

    2014年9月   土木学会  

    糠澤桂, 風間聡, 渡辺幸三

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  • 日本水環境学会平成21年年間優秀論文賞(メタウォーター賞)

    2010年9月   日本水環境学会  

    渡辺幸三, 八重樫咲子, 竹門康弘, 風間聡, 大村達夫

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  • 平成20年度建設工学研究奨励賞

    2009年6月   財)建設工学研究振興会  

    渡辺幸三

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  • 平成16年度東北大学総長賞

    2005年3月   東北大学  

    渡辺幸三

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  • 応用生態工学会第8回大会ポスター賞(一般投票部門)

    2004年10月   応用生態工学会  

    渡辺幸三

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  • 応用生態工学会第8回大会ポスター賞(選考委員会部門

    2004年10月   応用生態工学会  

    渡辺幸三

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  • 土木学会第59回年次学術講演会優秀講演者

    2004年9月   土木学会  

    渡辺幸三

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  • 平成15年度土木学会論文奨励賞

    2004年5月   土木学会  

    渡辺幸三

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 河川生息場の時空間的多様性を指標とする生態系管理:動的環境への適応進化と棲み分け

    2022年4月 - 2027年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(A)

    竹門 康弘, 角 哲也, 渡辺 幸三

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    配分額:41860000円 ( 直接経費:32200000円 、 間接経費:9660000円 )

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  • DNA情報に基づく水生昆虫の流域内多様性評価手法の構築と流域管理への応用

    2022年4月 - 2025年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

    八重樫 咲子, 大槻 順朗, 渡辺 幸三

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    配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )

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  • 見えない自然を守る~DNAによる河川地下フロンティア領域の可視化

    2022年4月 - 2025年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(B)

    根岸 淳二郎, 三浦 彩, 早川 裕弌, 渡辺 幸三, 三宅 洋

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    配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )

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  • ゲノム情報が解明する河川生物の環境応答:自然選択と機能的多様性に着目した保全

    2022年4月 - 2025年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(B)

    渡辺 幸三, 竹門 康弘

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    配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )

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  • 新型コロナ様パンデミックを誘因する未知&変異病原ウイルスの下水からの早期検出手法

    2022年4月 - 2025年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(B)

    大村 達夫, 佐野 大輔, 渡辺 幸三

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    配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )

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  • 下水疫学を用いたアジアの途上国における病原ウイルス監視基盤の構築と感染リスク制御

    2022年4月 - 2025年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(A)

    福士 謙介, 渡部 徹, 佐野 大輔, 渡辺 幸三, 大村 達夫

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    配分額:42510000円 ( 直接経費:32700000円 、 間接経費:9810000円 )

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  • 内在性ウイルス配列の抗ウイルス機構による媒介蚊の繁殖戦略の解明

    2021年4月 - 2025年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(B)

    鈴木 康嗣, 堀江 真行, 渡辺 幸三

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    配分額:17160000円 ( 直接経費:13200000円 、 間接経費:3960000円 )

    内在性ウイルス配列は、進化的時間の中でウイルス感染の際に宿主のゲノムに組み込まれた全長もしくは断片的なウイルスDNA配列である。近年、ネッタイシマカの主要な蚊特異的ウイルスの一つであるcell-fusing agent virus (CFAV)由来の内在性ウイルス配列が同定され、CFAVの複製を卵巣において抑制することが示された。一方で、このウイルス抑制がネッタイシマカの生存や繁殖にとって、どのような利点があるのかは不明なままとなっている。
    本研究では、ウイルスの抑制が卵巣であったことに着目し、CFAV感染が産卵や孵化率に負の影響を与え、内在性CFAV配列が、それを正常化させているという仮説を立てた。まず、CFAV感染が産卵および孵化に影響を及ぼすか検討することとした。先行研究におけるCFAV感染は、成体蚊への胸腔接種を用いていたが、この感染方法は人工的であり、自然界における感染経路とは異なる可能性が高い。そこで、CFAVに自然感染しており、内在性CFAV配列を持たないネッタイシマカ系統の構築を試みた。この際に系統中のCFAV感染率が限りなく100%に近いものを目指した。まず、ベトナムから採取・飼育株とされたネッタイシマカ系統のおよそ50%がCFAVに自然感染していることを突き止めた。CFAVを含む蚊特異的ウイルスは、垂直伝播により母子への感染が起こると考えられているため、次世代におけるCFAV感染率を高めるため、CFAV感染蚊メス個体のみを選択し、内在性CFAV配列非保有オス個体と交配させることを繰り返し行った。その結果、メスでは約80%、オスでは100% CFAVに自然感染しており、内在性CFAV配列を持たないネッタイシマカ系統を樹立することができた。また、同時にCFAV非感染・内在性CFAV配列非保有系統も樹立した。

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  • 日本産ユキガガンボの種多様性の解明と温暖化影響予測

    2021年4月 - 2023年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  特別研究員奨励費

    渡辺 幸三, KOLCSAR LEVENTE-PETER

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    配分額:2300000円 ( 直接経費:2300000円 )

    東北地方、四国、九州地方を中心に日本広域における気候・標高・土地利用などの環境条件が異なる数多くの地点で現地調査を行い, Chionea属をはじめとする数多くのガガンボ類の成虫標本を採取した。雪面を探索したり、ピットフォールトラップやスウィープネット法を用いて捕獲した。また、形態学的・分子生物学的解析のための標本採集のほかに、行動観察も行った。四国に生息する種は日没後に活発になり、暗いところでないと採集できないこと、本州や北海道に生息する他の種は昼間でも活発に活動していることがわかった。また、北海道に生息する一部の種は、雪や雨が降り始めるとササの葉の下に潜ることが明らかにされた。これらの新しい情報は、このグループから採集できる標本を大幅に増やし、温暖な条件下でも寒冷適応型昆虫の存在を確認することに活用される。これらの生物・環境調査の他、日本国内の共同研究者や博物館が所蔵するクモガタガガンボ標本もKolcsar博士が有する研究者ネットワークを駆使して、複数のコレクターや博物館から収集することができた。さらに、数多くの貴重な標本が愛媛大学の博物館にも所蔵されていることもわかった。これらの野外および博物館等から集めた昆虫標本は,生殖器や口器など体のパーツごとに形態特徴を実態顕微鏡や生物顕微鏡下で記録した。これらの形態学的分析の結果、日本には少なくとも10種のユキガガンボが生息しており、そのうち6種は新種、1種は日本(北海道)で初めて発見された種であることがわかった。系統解析に必要な多様な種から約250個体を選んでDNAを抽出した。良質なDNAを抽出できたDNA試料を対象にミトコンドリアDNAのcox1領域の塩基配列をシークエンシングで解読した。これらDNA塩基配列の多くはDNAデータベースに登録した。

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  • 水環境に潜伏する薬剤耐性菌から人への耐性遺伝子の伝播機構とリスク評価

    2020年4月 - 2024年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(A)

    鈴木 聡, 佐野 大輔, 渡辺 幸三

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    配分額:44980000円 ( 直接経費:34600000円 、 間接経費:10380000円 )

    本研究では,環境に潜伏する耐性遺伝子の実態解明からさらに進めて,水環境に存在する陸起源および水圏起源の耐性遺伝子が人獣病原菌・腸内細菌に伝播するプロセスを解析し,水圏から人間環境へ耐性遺伝子が侵入する機構・条件の解明とリスク評価を目的としている。動物・ヒト間での遺伝子伝播の研究はあるが,自然水圏からヒトへのリンク機構を解明するのは新規研究であり,ワンヘルスに環境視点で貢献する研究である。
    これまでに,水環境での耐性遺伝子と伝達因子の相関解析を行い,比較的新しく見つかった耐性遺伝子は多様な伝達因子に担われるが,徐々に特定のものに収束することが示唆された。また,アルファプロテオバクテリアに属する海洋細菌に多く見出される新規のsul4は,非伝達性であり,通常の葉酸合成系で働く酵素であることがわかった。この遺伝子は河川の細菌では伝達性が疑われていることから(既報),海洋細菌と河川細菌では機能が変化していることが示唆される。今後の詳細な解析が望まれる。
    下水環境と海洋環境から得た耐性菌の持つ耐性遺伝子の伝達を実験的に検討し,既報より高率に伝達が起こりうることを明らかにした。遺伝子供与菌の栄養状態が低下すると伝達性も低下し,有機物添加で伝達率が回復することから,有機物濃度の高い下水中では,遺伝子伝播が起こりやすいことが考えられた。
    また,化学物質の共存などで伝達率が上昇する条件を多くの既報から抽出し,決定木解析で明確にしつつある。耐性遺伝子が多様な細菌群集へ拡散する機構と条件の解明が期待できる。

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  • 蚊共生細菌ボルバキアによるデング熱の生態学的制御:安心・安価な新技術の提案

    2019年10月 - 2022年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))  国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))

    渡辺 幸三, 糠澤 桂, 八重樫 咲子, ガンボア・メンデス マリベット・アリアナ

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    配分額:18460000円 ( 直接経費:14200000円 、 間接経費:4260000円 )

    本研究の目的は,ネッタイシマカに自然感染した蚊共生細菌ボルバキアを活用して、デング熱流行を制御する安心・安価な技術を開発することである。金ナノ粒子を使った簡便なボルバキア検出手法の有効性が確認された。また、マニラのネッタイシマカの集団遺伝解析から、幹線道路を横断する蚊の飛翔が妨げられていることも明らかになった。さらに、メトロマニラで採取した429匹のネッタイシマカ成虫をリアルタイムPCRによりボルバキア濃度を定量した結果、ボルバキア陽性となった267個体のうち、3つのボルバキア系統グループ間で、蚊体内のボルバキア濃度に有意な違いがあることが明らかにされた。

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  • 次世代シーケンシングによる温暖化適応遺伝子のゲノム検索:遺伝的多様性予測への活用

    2019年6月 - 2021年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

    渡辺 幸三

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    配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )

    本研究は気候変動に伴う流域内の環境勾配の変化に伴う適応的な遺伝子頻度の変化を表現する手法を構築した.河川水生昆虫7種を対象にして、温暖化に関連する環境因子(水温・降水量等)の影響を受ける環境選択性遺伝子座をゲノムから検索し,それらの配列型を環境変数から予測する適応進化モデルを開発した。そして、気候変動シナリオ下の流域スケールの環境変数の空間分布を導き,上記適応進化モデルとのガップリングにより,将来の遺伝子型と遺伝的多様性の空間分布を予測した。その結果、適応的進化を考慮すると、生息域の縮小が必ずしも遺伝的多様性を劣化させるとは限らないことが示された。

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  • 気候変動下での暑熱障害と感染症による健康リスクの予測と統合的評価

    2019年4月 - 2022年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

    福士 謙介, 渡部 徹, 渡辺 幸三

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    配分額:45760000円 ( 直接経費:35200000円 、 間接経費:10560000円 )

    気候変動の影響を強く受ける東南アジア都市において、昼間の熱中症を中心とする暑熱に関連する健康障害、下痢症・皮膚病等の水系感染症、デング熱等の蚊媒介感染症の健康リスクを予測するモデルを構築した。その結果、暑熱環境リスクは屋外労働者(建設業)が高いが、収入が高く栄養状態の良いベトナムではそのリスクが比較的小さかった。水系感染症は、ベトナムでは洪水により都市下流に位置する集落や農地に大腸菌が拡散してリスクが高まった。さらに、蚊媒介感染症に関するフィリピンとインドネシアの調査では、降水量が増えるとタイムラグをおいてデング熱媒介蚊の個体数が高まり、成虫1匹増えるとデング熱感染リスクが1.8%増加した。

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  • 定量メタバーコーディングによる迅速で正確な種多様性評価:群集と環境DNAへの適用

    2019年4月 - 2022年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

    渡辺 幸三, 加藤 幹男, 竹門 康弘

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    配分額:17290000円 ( 直接経費:13300000円 、 間接経費:3990000円 )

    次世代シーケンシングを活用したDNAメタバーコーディングにより,河川底生動物の種多様性を正確かつ迅速に評価するための手法を検討した。DNAメタバーコーディングにより、種ごとの個体数や湿重量を相対的に評価できることを確認した。「河川水が伏流する砂州上流端の河床には多様な種の環境DNAが濃縮される」という仮説を検証した結果、砂州上流端、下流端、その中間地点の河床間隙水中の種多様性に有意な違いがないことが明らかになった。またこれら3地点では検出される種が大きく異なることがわかった。

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  • 洪水に伴うデング熱媒介蚊の生息分布と個体数の拡大過程の遺伝学的推定:温暖化の影響

    2019年4月 - 2021年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

    渡辺 幸三, CARVAJAL Thaddeus Marzo

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    配分額:3000000円 ( 直接経費:3000000円 )

    【研究項目2 次世代シークエンシングによる蚊ゲノムの解読】
    217個体のネッタイシマカ蚊成虫から個体ごとにDNAを抽出し,次世代シークエンシンサーを活用したDouble Digest Restriction site Associated DNA Sequence(ddRAD-seq)を行った。ddRAD-seq解析の前に、まずネッタイシマカのゲノム情報を得るために最適なddRAD-seqのライブラリ調整条件(制限酵素の選択、PCR条件など)を見つけた。その最適な条件に基づいてライブラリを調整し、次世代シーケンサーIllumina Hiseqでゲノム全体に分布する膨大な数の一塩基多型(SNP)を約1万領域見つけた。このddRAD-seqでは、10-30個体のDNAをプールして解析を行うことで、より多くの個体のゲノムワイド配列データを迅速に取得することに成功した。
    <BR>
    【研究項目3 デング熱媒介蚊の生息分布と個体数の拡大過程の遺伝学的推定と環境履歴との関係解析】
    中立SNP領域の配列データから,分子時計で推定した進化系統樹を都市ごとに作成する。各都市の気候・洪水・土地利用等の環境履歴に基づき,機械学習モデル(ランダムフォレスト)で蚊個体数や生息の有無に影響した各都市の環境条件を解明した。主に、降水量と相対湿度と低層住宅地の密度が蚊の生息に影響していることがわかった。また、SNPを使って都市内の地域間交流の強さを遺伝子頻度の類似性に基づいて評価した結果、雌と雄の飛翔パターンに大きな違いはないことが明らかにされた。また、大きな幹線道路をまたぐ方向の蚊の移動が制限されていることも示唆された。

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  • ノロウイルス感染症制御を可能とする水インフラの実現

    2018年4月 - 2022年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

    大村 達夫, 李 玉友, 片山 浩之, 渡部 徹, 渡辺 幸三

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    配分額:44460000円 ( 直接経費:34200000円 、 間接経費:10260000円 )

    本研究は、「ノロウイルス感染症制御を可能とする水インフラ」の実現を目指すものである。充実した水インフラが整備されている先進諸国であっても、ノロウイルス感染症は制御不可能な状況にある。これは、水インフラの整備が遅れている開発国において病原性の高いノロウイルスの遺伝系統が容易に発生するためと推測される。そこで本研究では、「水インフラ環境が異なる地域間でノロウイルスの進化速度が異なる」との仮説を立て、その実証を試みることを目的としている。
    研究初年度である平成30年度は、マウスノロウイルスを用いた精密膜ろ過及び消毒処理による環境選択実験により、精密膜ろ過により除去されにくいマウスノロウイルスの遺伝系統と、消毒剤耐性を有するマウスノロウイルスの遺伝系統を取得すること、及び下水・汚水由来のノロウイルス遺伝子取得を目的とした実験を行った。消毒剤耐性を有するマウスノロウイルスに関しては、遊離塩素に対し有意な耐性を保持する集団の取得に成功した。得られた遊離塩素耐性マウスノロウイル集団、および遊離塩素を用いずに希釈と培養のみを繰り替えした対照マウスノロウイルス集団に対し全ゲノム解析を行ったところ、遊離塩素耐性マウスノロウイルス集団に特異的な遺伝子変異を同定することに成功した。そのうちの1つはVP2と呼ばれるマイナー外殻タンパク質をコードする遺伝子中に存在しており、この変異によりマウスノロウイルス粒子の安定性が向上しているものと推測された。下水・汚水由来のノロウイルス遺伝子取得に関しては、仙台市内の下水処理場で採取した未処理下水から得られたノロウイルス遺伝子配列の取得に成功した。

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  • なぜノロウイルスがカキに蓄積するのか?そのメカニズムの解明

    2017年6月 - 2020年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(開拓)  挑戦的研究(開拓)

    大村 達夫, 藤井 学, 三浦 尚之, 渡辺 幸三, 佐野 大輔

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    配分額:25740000円 ( 直接経費:19800000円 、 間接経費:5940000円 )

    カキを養殖している内湾の河口から沖に向かった縦断方向に位置する5地点において海水200~560Lに含まれる植物および動物プランクトン試料を採取用ネット(目合0.1mmおよび目合0.072mm)をそれぞれ用いて採取した。また,5地点のうち1地点では,養殖カキも同じ日に採取した。調査は2018年11月6日、12月20日、2019年2月4日にそれぞれ行った。プランクトン採取時のばらつきを評価するため,各地点において濃縮試料(約40mL)のレプリケートを3~4本採取した。採取したプランクトン試料は顕微鏡下で,動物,植物プランクトンに形態学的にソーティングした。カキ試料からは中腸線を取り出し,湿重量を計量したのちに,定量PCRによるノロウイルスの検出および定量,そしてDNAメタバーコーディングによるカキの食性解析のために冷凍保存した。
    形態学的ソーティングの結果,採取用ネットの目合(0.1mmおよび0.072mm)の違いに依らず,動植物プランクトンが混在した形で採取されていることが確認された。ただし,割合としては,0.072mm目合ネットの方が植物プランクトンの個体数の割合が全体的に高まっていた。リアルタイムPCRによるノロウイルスの検出の結果,一部サンプルからノロウイルスが検出された。サンプル中の動物および植物プランクトンの個体数を形態学的に定量した結果,動物プランクトンの個体数の割合が高い地点のサンプルほど,ノロウイルス濃度が低下している相関関係が観察された。また,カキ中腸線のDNAメタバーコーディング解析を行い,カキが動物および植物プランクトンの双方を捕食していることも確認された。

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  • ネッタイシマカのゲノム編集に向けたデングウイルス感染防御遺伝子の検索

    2017年6月 - 2019年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

    渡辺 幸三

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    配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )

    デング熱はネッタイシマカ等の蚊が媒介するウイルス感染症での感染環により流行が拡大する。本研究は,次世代シークエンシング(RNAseq)を用いたゲノムワイドの比較遺伝子発現解析により,ネッタイシマカへのデングウイルス感染抑制に寄与している遺伝子群とその生物学的機能を推定した。比較遺伝子発現解析には,デングウイルスに感染している個体,ボルバキアに感染している個体,両者に感染していない個体を用いた。解析の結果,ウイルス感染に関与している69個の遺伝子が探索された。これらはセリンプロテアーゼ活性,ATP結合,匂い分子結合タンパク質などの機能に関与していることが推定された。

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  • 東南アジアにおける環境と健康のデータベース構築

    2017年4月 - 2020年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

    福士 謙介, 渡部 徹, 渡辺 幸三

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    配分額:41730000円 ( 直接経費:32100000円 、 間接経費:9630000円 )

    【暑熱環境班】暑熱環境の解析をベトナム(ハイフォン、フエ、ダナン)、インドネシア(メダン市、スラバヤ市、デンパサール市、北スマトラ州、東ジャワ州、バリ州)において、現在、将来に関して実施し、計算結果、計算するために必要なデータの収集と整理を行った。一方、国立環境研究所・気候変動適応センターとアジア太平洋気候変動適応情報プラットホーム(AP-PLAT)における本事業で収集整理したデータの効率的な格納方法、表示方法に関して検討し、2020年までには同プラットホーム上で本事業の成果を公表可能にする方向で検討することとなった。
    【水系感染症班】ベトナム・フエを対象に、カウンターパートの協力を得ながら、洪水時の溢水のサンプリングを実施した。また,洪水時と平常時の感染症発生状況を把握するため、都市下水のサンプリングも実施した。そこで採取したサンプルからは、感染症リスク評価に必要な糞便汚染指標細菌(大腸菌、腸球菌)やノロウイルスの検出をそれぞれ行った。さらに、農作物の汚染を介した間接的な感染症リスクを検討するために、都市下水に起因する都市近郊農地の汚染に関する情報収集も行った。
    【ベクター感染症班】前年度から継続して、インドネシア全土およびフィリピン全土から各国のカウンターパートと協力して、デング患者の疫学データを国際機関と国の保健機関から収集した。また、デング熱小児患者の心理的負担(うつ病率等)についてのデータも収集し、約2割のデング熱小児患者がうつ病を発症していることを明らかにした。さらに、トラップを使った蚊生息数データの収集を、マニラおよびバンドンで継続的に行った。蚊に刺された場所と時間データをスマートフォンを介して広範囲から収集するアプリを開発できた。インドネシアを網羅する約8割の県を対象として、各県の気象変数からデング熱感染リスクを予測する機会学習モデルを作成した。

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  • 流況・土砂管理を組み合わせたダム下流の自然再生事業の生態学的評価

    2017年4月 - 2020年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

    角 哲也, 竹門 康弘, 渡辺 幸三

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    配分額:42120000円 ( 直接経費:32400000円 、 間接経費:9720000円 )

    平成29年度にトリニティ川で調査した「河川管理(流況・土砂供給)」,「生息場構造」「生物多様性 」「水質浄化機能」の4要素間の関係を分析するとともに、天竜川と木津川を中心とした国内河川で同様の調査を行って比較分析を行った。平成30年度は、平成29年度に実施した、課題1の河川管理の違いが生息場構造や河床状態に及ぼす影響の解明、および、課題2の河川管理の結果形成された生息場構造が生物多様性(魚類・底生動物)に及ぼす影響に加えて、課題3の砂州フィルタリングによる水質浄化機能に及ぼす影響について取り組んだ。
    課題1に関しては,ルイストンダム下流区間ならびに天竜川船明ダム下流区間の調査結果をもとに,面積比,頻度比,生息場多様度等の生息場構造指標を評価し,「流量変動や土砂供給量が中程度の状況下で生息場構造の多様性や河床間隙が最も高まる」という仮説を検証した。
    課題2では,生息場ごとに底生動物と魚類の種多様性,種構成,個体数,エネルギー寄与率等の生態学的指標を評価するために ,課題1で明らかにされた生息場構造指標,砂州形状特性値や河床材料に関するデータとの定量関係を回帰分析で導き,流況や 土砂管理による生息場の改善が生態学的指標の変化に繋がっているのかを定量的に検証した。
    課題3では,生息場構造の水質浄化機能を評価するために, 平成29年度に行った調査結果をもとに,濁度,懸濁成分量(SS, 強熱減量),粒状有機物の安定同位体比,溶存酸素や栄養塩等の水質項目について,砂州内流下方向の変化を評価するとともに ,河床内に生息する微生物群集の種組成について,次世代シーケンサーを用いたメタゲノム解析で種を同定した。そして,砂州リフレッシュによる微生物群集組成の更新と共に,生物学的な水質浄化機能の改善に繋がっている分類群等を特定し,砂州形状や河床間隙率の違いが水質浄化機能に及ぼす影響を明らかにした。

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  • 河川底生動物のゲノムワイド遺伝子発現解析による地球温暖化への適応と脆弱性の評価

    2017年4月 - 2019年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

    渡辺 幸三, GAMBOA MENDEZ MARIBET ARIANA

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    配分額:2300000円 ( 直接経費:2300000円 )

    【研究背景】膨大なゲノムには水質・水温・流速等の様々な環境因子の自然選択を受けた遺伝子が数多く存在する。この環境選択性遺伝子を同定できれば,生物の適応的進化の理解が促進される。この遺伝子と環境を直接関連付ける適応的進化の理解により,将来の気候変動や土地利用変化などの環境変化後の遺伝的多様性の劣化をより正確に予測することが可能となる。
    【研究目的】水温の変化に敏感な河川水生昆虫カワゲラを対象に,日本列島の寒冷~亜熱帯の気候勾配に沿った適応的なRNAレベルの遺伝構造の変化を調べて,将来の気候変動(地球温暖化)に伴う遺伝的多様性の劣化や種の絶滅の可能性を予測する.
    【方法】札幌,仙台,岐阜,松山の日本列島の気候条件に沿った4地域の流域において,河川水生昆虫カワゲラの幼虫個体を採取した。生物個体の採取と共に,遺伝的な適応に関係する可能性のある気温・水温・流速・河床材料などの物理的環境の現地調査,GISを使った土地利用状況(農地,山林等)や都市化率の定量化など,環境条件を多岐に渡って調査した。さらに,次世代シークエンサー(HiSeq 4000)を使ったゲノムワイドのトランスクリプトーム解析により,DNAから翻訳されたmRNAライブラリーの配列データを取得した。
    【結果および考察】次世代シーケンス解析から353,352配列が得られた.その内,BLAST検索でヒットしたのは1732配列,411個の遺伝子がアノテーションされた.地域間において共通の遺伝子領域は1つのみだったが,特異な遺伝子領域は390個とはるかに多かった.特に札幌では他3地域より約40個多い131個の遺伝子領域が特異だった.アノテーションされた遺伝子領域が札幌において143個で他3地域より40個以上多かったことから,極端な環境状態に適応するためにカワゲラはより多くの遺伝子を発現する必要があると推測された.

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  • 蚊に着目したデングウイルスの空間伝播動態の解明と生態学的防御

    2016年4月 - 2019年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

    渡辺 幸三, 糠澤 桂, 大村 達夫, 八重樫 咲子

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    配分額:16770000円 ( 直接経費:12900000円 、 間接経費:3870000円 )

    デング熱が流行するフィリピンで採取したネッタイシマカからデングウイルスと蚊共生細菌ボルバキアを検出した。その結果,ターラック市におけるネッタイシマカのデングウイルス陽性率は、メス成虫359個体のうち10個体(2.8%)が陽性であった。また,多くの村でデング熱患者とネッタイシマカから異なる血清型が検出され,デングウイルスの空間伝播が大きな空間スケールで起きていることが示唆された。また,メトロマニラで採取した672個体のネッタイシマカのうち80個体(12%)がボルバキアを有していることが明らかにされた。また,気象水文変数によりメトロマニラのデング罹患率の経週変化を予測する機械学習モデルを開発した。

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  • マダニ生息分布調査と次世代シーケンシングによる保有病原体の網羅的検出

    2016年4月 - 2019年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

    サトウ 恵, 渡辺 幸三, 中尾 稔

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    配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )

    2016年から2018年度の3年間で新潟県下においてマダニの採取を行った。マダニ種の分類を行い、それぞれの地域において現在分布しているマダニ種のおおよその把握を行うことができた。新潟県で現在確認されたマダニ種は14種で、1950年代には見られなかった南方系のマダニ種も確認している。またマダニが保有しているリケッチア、ボレリアの検出を行い、それぞれに病原
    体の種特異性を確認した。検出されたリケッチアはR. asiatica, R. helvetica, R. monacensis の3種であった。ボレリアはB. japonica,B. miyamotoiまた、種不明Borrelia属が検出された。

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  • 次世代シーケンサーを活用した流域生物の全種網羅的な遺伝的多様性評価法の開発

    2016年4月 - 2019年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

    渡辺 幸三, 加藤 幹男, 八重樫 咲子, 竹門 康弘

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    配分額:18720000円 ( 直接経費:14400000円 、 間接経費:4320000円 )

    従来の一種限定の評価から脱却し,全生息種を対象に,生息地分断化や環境選択の遺伝子レベルの生態影響を迅速かつ安価に評価する新規的技術を開発した。次世代DNAシーケンス解析技術とDNAバーコーディングを活用し,瀬切れ河川重信川における水生昆虫15種の流域内交流解析を同時に行った.その結果,多くの種は瀬切れによる流域内交流への影響がみられなかった一方で,Baetis sp. とChironomus kiiensisは瀬切れによる移動分散阻害が発生していた.今後,NGS解析による多数種の移動分散パターン解析技術が実現することで,生態系に配慮した河川管理へ応用されることが期待される.

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  • 水循環システムに起因する水系感染症ウイルスの環境適応進化メカニズムの解明

    2015年4月 - 2018年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

    大村 達夫, 李 玉友, 佐野 大輔, 渡辺 幸三

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    配分額:44590000円 ( 直接経費:34300000円 、 間接経費:10290000円 )

    本研究では、ヒトノロウイルスの代替としてマウスノロウイルス、ヒトロタウイルスとしてサルロタウイルスを用い、遊離塩素への繰返し曝露がもたらすウイルス集団の適応進化に関する研究を行った。その結果、両方のウイルスに関し、遊離塩素への繰返し曝露により遊離塩素耐性集団を得ることに成功した。マウスノロウイルスに関しては外殻タンパク質遺伝子配列、サルロタウイルスに関しては全ゲノム配列の解析を行ったところ、遊離塩素への繰返し曝露により、ある特定の形質を有する株の優占が生じることが明らかとなった。以上の結果から、水処理によく用いられる遊離塩素処理が、胃腸炎ウイルスへの淘汰圧として働いていることが示された。

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  • 日本産河川昆虫カワゲラの種多様性の系統発生学的再評価:DNAと形態に基づく種分類

    2015年4月 - 2017年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

    渡辺 幸三, MURANYI DAVID

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    配分額:1200000円 ( 直接経費:1200000円 )

    本研究は、ヨーロッパ,北アメリカ,日本広域を網羅する東アジアから採取した成虫標本を用いて、カワゲラ目クロカワゲラ科の属ならびに種の定義を見直した。形態学的分析とDNA塩基配列に基づいて、(1)クロカワゲラ類の時間的,地理的な進化過程を明らかにすること,(2) クロカワゲラ類の属間の形態形質の進化パターンを明らかにすること, (3) DNAデータベースの充実化に向けクロカワゲラ類のCOI塩基配列とHistone H3塩基配列を解読し決定することを目的とした解析を行った.主な結論を以下にまとめる.
    (1) クロカワゲラ科224サンプルから形態同定により未記載属7属,未記載種15種が確認された.形態だけでなく分子系統樹においてもこれらの属の単系統が示されたことにより,形態同定の正確性が裏付けられた.なお,未記載属Aのアメリカ産と日本産は系統の異なる別属であることが示唆された.日本産クロカワゲラ科のいずれの種も,現在のCapnia属の狭義の形態学的定義には当てはまらないことが明らかになった。これらは我々が定義しようとしている新たな属に分類されるものと考えられる。
    (2) ベイズ推定法による分子系統樹からクロカワゲラ類の時間的,地理的な進化過程が推定された.日本産の属の多くが単系統群に当てはまり,日本産クロカワゲラは大きく分けて3つの系統から成ることが示された..
    (3) 遺伝距離と形態形質の距離の間に正の相関があることが示された.クロカワゲラ科は遺伝的な差が大きくなるほど形態も異なっている.
    (4) クロカワゲラ科19属62種のCOI配列を220配列,Apteroperla(ハダカカワゲラ)属6種のHistone H3配列を28配列解読した.これらの配列データをDNAデータベースに登録し,DNAバーコーディングの精度向上に役立てられるものと考えられる.

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  • 気候・社会・生態系の変動に対応した感染症リスク評価モデルの構築

    2014年4月 - 2017年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

    福士 謙介, 渡部 徹, 渡辺 幸三

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    配分額:40560000円 ( 直接経費:31200000円 、 間接経費:9360000円 )

    アジアの途上国都市を想定し、気候変動や社会変動の影響を考慮した洪水起因の感染症リスクの定量評価モデルを構築した。まず,洪水時の行動を考えたQMRAを基本とし、家庭内における二次感染を考慮したモデルにより、ノロウイルス感染リスクを算出した。次に,気候パラメータにもとづくデング熱のリスク評価モデルを、デング熱罹患率の季節変動と都市内での空間変動に着目しながら,機械学習アルゴリズムを用いて構築した。
    最後に,現地でのインタビュー調査により,洪水時に頻発する感染症の種類とそれに対する住民の感情を明らかにした。その結果にもとづいてDALYの算出手法を改良し、洪水時の感染症による経済損失を評価した。

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  • 適応進化を考慮した気候変動下の遺伝的多様性予測モデルの開発

    2014年4月 - 2017年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究  挑戦的萌芽研究

    渡辺 幸三, 風間 聡

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    配分額:3900000円 ( 直接経費:3000000円 、 間接経費:900000円 )

    気候変動モデルのダウンスケーリングを行い,複数のシナリオ下における降水量・気温を予測した.そして,分布型流出モデルを活用して流域内の流速・水深・水温の空間分布を予測し,MaxEntにより,各シナリオ下の水生昆虫4種の対象流域内の生息分布を推定した。さらに,ゲノムワイドの遺伝子データからBayeScanおよび自己組織化特徴マップ解析により環境選択性遺伝子座を同定した。そして,水温・流量等の変数と対立遺伝子頻度の関係を表す重回帰モデルを作成し,気候変動下の環境選択性遺伝子座と遺伝的多様性の空間分布を予測した。その結果、水温による自然選択を強く受けていた種の遺伝的多様性の著しい劣化が予想された。

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  • 排砂バイパスによる土砂輸送およびダム下流生態系変化の解明

    2014年4月 - 2017年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

    角 哲也, 堤 大三, 竹門 康弘, カントウシュ サメ・アハメド, 渡辺 幸三, 山上 路生

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    配分額:36790000円 ( 直接経費:28300000円 、 間接経費:8490000円 )

    1.日本とスイスのバイパストンネルの形状・設計流速・通過礫の粒度・岩質・年運用日数、通過土砂量などのデータを収集整理した。
    2.(1)関西電力旭ダムの摩耗実績に関するデータを収集し、実績の流砂量を用いて、日本で広く用いられている摩耗予測式(石橋式)とスイス連邦工科大学で提案された摩耗予測式の両者の比較検討を行った。(2)流砂量の観測技術において、従来のパイプ型ハイドロフォンに対して、高流速・大粒径の衝撃に耐えうるプレート型ハイドロフォンを開発した。水理実験により、計測可能な流砂の粒径範囲や、流砂量の推定に最適な信号(ゲイン)を特定し、通過礫の検知率が、流砂の飽和度と衝突率で表されることを示した。

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  • 大規模流量・生物データ解析による攪乱レジーム-河川生物群集関係の解明

    2014年4月 - 2017年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

    三宅 洋, 井上 幹生, 渡辺 幸三, 吉村 研人, 岡田 裕成, 泉 哲平, 渡辺 裕也, 椋田 勇希, 森 照貴, 川西 亮太, 赤坂 卓美

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    配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )

    本研究は,既存の国内流量・生物データを活用した大規模解析を行うことにより,流量変動-河川生物群集関係を広域的に解明することを目的とした。この結果,国内河川において底生動物・魚類の保全に考慮した流量管理を行う際には,出水の継続時間および春季出水規模に注目するべきであることが示された。これら流量レジーム特性の改変に関与しているダムの運用方法の改善および土地利用の影響の緩和が河川生態系の保全にあたっては重要であることが示唆された。

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  • 生息場寿命に基づく河川生態系の構造解析

    2013年4月 - 2017年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

    竹門 康弘, 吉村 千洋, 渡慶次 睦範, 角 哲也, 堤 大三, 風間 聡, 藤田 正治, 竹林 洋史, 渡辺 幸三

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    配分額:42250000円 ( 直接経費:32500000円 、 間接経費:9750000円 )

    河川生態系では生息場が動的な存在であることを前提に管理する必要がある。本研究では生息場寿命の視点から、天竜川、木津川、タリアメント川などの地形と生態現象の関係を調査し、生息場を好適化する撹乱条件を明らかにした。その結果、アユの産卵場には軟底の瀬が必要であり、4.5年確率の大規模出水時に好適化し、1年確率以下の中小規模出水時に劣化することがわかった。一方、タナゴ類やイシガイ類の生息するたまりは、2年前の泥の堆積厚が5-10cmで冠水頻度が年3回以下(現状の冠水日数8~22日の比高)であり、このような砂州地形を維持するには、4万~6万m3/年程度の土砂移動量が適していると推定された。

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  • 河川水生昆虫カワゲラの環境適応と遺伝的分化:ゲノムとタンパク質の進化

    2013年4月 - 2016年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

    渡辺 幸三, GAMBOA MARIBET, GAMBOA Maribet

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    配分額:2300000円 ( 直接経費:2300000円 )

    気候勾配に沿った札幌・仙台・岐阜・松山の4地域の河川から,45種・1457個体の水生昆虫カワゲラの幼生個体を採取した。また,現地で補足的に行った成虫のサンプリングにより,12種から成る89個体の成虫個体も採取した。
    RADシークエンシングにより,42種の計384カワゲラ個体から,合計約160億塩基のゲノムワイドのDNA塩基配列データを収集することに成功した。解読されたゲノム上の約300万塩基において,気候勾配に沿って設定した調査地域間における一塩基多型(SNP)が検出され,気候勾配に沿った遺伝的変異がゲノム上の広域で起きていることが解明された。
    タンパク質レベルのプロテオーム解析では,2次元電気泳動によるタンパク分画解析から,気温の季節間変動が大きな札幌と岐阜では,他地域よりも多様なタンパク質を発現していることが分かった.解析をした7種のカワゲラのうち,Nemoura sp. ,Rhabiopteryx japonica ,Eucanopsis sp. ,Perlodini incertaeの4種は4地域で最も温暖な松山で特異的に発現したタンパク質数が他の地域より多いことから,温暖な地域に適応的な種である可能性が示された.一方,Amphinemoura sp. とHaploperla japonica の2種は札幌で特異的に発現したタンパク質数が多いことから,寒冷な地域に適応的な種と推察された.さらに,各地域に固有に発現していた計111種類(スポット)のタンパク質を選択して,更に高度なアミノ酸配列情報等を取得するMALDI-TOF/TOFを行い,タンパク質を同定した.
    ゲノムワイドのmRNAの発現をトランスクリプトーム解析で調べた。7種の計46個体のカワゲラから,合計約6300万塩基のゲノムワイドのmRNA塩基配列データを収集し,411個の遺伝子のうち11個はもっとも寒冷な札幌で特異的に検出されていることがわかった.

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  • 大規模DNA情報を活用した正確かつ迅速な種多様性評価技術の開発

    2013年4月 - 2016年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

    渡辺 幸三, 大村 達夫, 加藤 幹男, 三宅 洋

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    担当区分:研究代表者  資金種別:競争的資金

    配分額:17810000円 ( 直接経費:13700000円 、 間接経費:4110000円 )

    愛媛県重信川の10地点に生息する河川底生動物群集を対象に,大量のDNA塩基配列を一度に解読する次世代シークエンシング解析を活用し,迅速に種数を評価した.従来の顕微鏡を使った形態同定の結果,採取された8,921個体から64分類群が発見された.それに対して,ミトコンドリアDNAのCOI領域(658塩基長)を対象とした次世代シークエンシング解析で得られた165,508配列の内,DNAバーコーディングにより39,337配列から成る128種が同定された.また,各分類群における個体数とDNA配列数に正の相関が見られた.またDNA種分類法(PTPモデル)を適用した結果,298種の存在が推定された.

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  • フィリピンにおけるデング熱媒介蚊の集団遺伝学的研究:飛翔パターンと感染経路

    2013年4月 - 2016年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

    渡辺 幸三, 大村 達夫, 渡部 徹, 押谷 仁, 齊藤 麻理子

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    担当区分:研究代表者  資金種別:競争的資金

    配分額:16770000円 ( 直接経費:12900000円 、 間接経費:3870000円 )

    フィリピンのメトロマニラとターラックにおいて,デングウイルスを媒介するネッタイシマカ成虫を採捕して,DNA多型解析を行った。その結果,蚊の交流範囲や蚊の飛翔範囲が5km未満など,デングウイルスの伝播範囲の予測に繋がるベクターの空間生態を明らかになった。また,メトロマニラの全604行政区における洪水強度と土地利用区分に関するGISデータを整備し,これらを説明変数として,行政区間のデング感染率(人口当たり感染数)の違いを記述する回帰木モデルを作成した。高い精度で実測されたデング感染率を説明するモデルが構築され,洪水がリスク因子としての寄与率が高いことも示された。

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  • 先進国社会における胃腸炎ウイルス適応進化による消毒剤耐性獲得メカニズムの解明

    2013年4月 - 2015年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究  挑戦的萌芽研究

    佐野 大輔, 渡辺 幸三

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    担当区分:連携研究者  資金種別:競争的資金

    配分額:3900000円 ( 直接経費:3000000円 、 間接経費:900000円 )

    本研究では、ノロウイルスの塩素消毒耐性獲得メカニズムを解明することを目的とした。その結果、繰り返し遊離塩素に曝露することで、マウスノロウイルスの集団が塩素耐性を獲得することが可能であり、それはある特定の株が優占することによって生じる現象であることが確認された。なお、本研究の成果は計3つの学会で発表されたが、そのうち第55回臨床ウイルス学会において本研究の先駆性が認められ、研究代表者は若手奨励賞を受賞した。

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  • DNA分析を活用した正確・迅速・安価な種多様性評価技術の開発

    2012年8月 - 2014年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 研究活動スタート支援  研究活動スタート支援

    渡辺 幸三

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    担当区分:研究代表者  資金種別:競争的資金

    配分額:2990000円 ( 直接経費:2300000円 、 間接経費:690000円 )

    愛媛県重信川流域の15地点において,2012年5月,8月,11月,2月に環境調査と河川底生動物群集の採取を行った。これらの調査地点は「流域」,「セグメント(流程)」,そして「リーチ(蛇行区間)」の3つの異なる空間階層スケールで種多様性を評価するデザインで選択した。環境調査は,水質,餌資源,流速,水深,河床材料など幅広く行った。2012年8月に採取した底生動物群集サンプルを,従来の顕微鏡観察に基づく形態学的種分類に基づく種多様性評価を完了したのちに,次世代DNAシークエンシング解析に用いた。このDNA分析では,まず各地点の生物群集試料から一度にDNAを抽出し,雑多な種が混在するDNAを対象にして,マルチプレックスPCRでミトコンドリアDNAのCOI領域(672bp)を増幅した。その後,雑多な種のPCR産物(アンプリコン)を,Roche 454 Sequencerを用いたパイロシークエンシング法に基づき,次世代DNAシークエンシング解析した。その結果,平均400bp長の塩基配列データを約17万配列を一度に作成することに成功した。この大規模DNAデータベースは引き続き実施される各調査地点の種多様性(種数)の評価に用いられる。具体的には,進化モデルと絶滅モデルを融合したGeneralized Mixed Yule-Coalescent(GMYC)モデルに適用することで,塩基配列間の非類似性に基づいて種の境界を定義して種数を定量化する。

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  • アルプス自然流域に残された生物多様性の大規模ゲノム解析による解明とその保全

    2012年4月 - 2015年3月

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

    大村 達夫, 吉村 千洋, 竹門 康弘, 風間 聡, 西村 修, 渡辺 幸三

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    担当区分:連携研究者  資金種別:競争的資金

    配分額:44720000円 ( 直接経費:34400000円 、 間接経費:10320000円 )

    本研究は,ヨーロッパアルプスの中で例外的に残された北東イタリアの自然流域を参照し,自然再生で目指すべき種多様性の目標像を示すことを目的とする.DNA種分類に基づいて,未記載種も含む河川底生動物群集の種多様性を評価し,生息場間の環境多様性や流倒木などの微笑生息場の生態学的な重要性が確認された.また,自然氾濫原における洪水撹乱による生息場地形の更新(生息場寿命)が種多様性を維持する機構も解明した。

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  • 水生昆虫集団の個体群動態の履歴に因る遺伝構造の形成と生息地分断による遺伝的分化

    2006年 - 2008年

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

    渡辺 幸三

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    配分額:3400000円 ( 直接経費:3400000円 )

    宮城県中南部地域4水系の源流から下流の30地点に分布するヒゲナガカワトビケラ局所個体群の遺伝構造をAFLPマーカーおよびミトコンドリアDNA(COI領域)マーカーで解析し,局所個体群間の移動分散パターンを評価した。地点間の遺伝距離に基づく系統樹の結果から,源流の局所個体群が中流以降の大部分の個体群から遺伝的に隔離されていることが明らかになった。ヒゲナガカワトビケラは,雌成虫が河道に沿って産卵遡上する行動が観察されているが,本研究の結果は,風分散により方向性を持たない成虫の移動が起きている可能性を示した。また,ミトコンドリアDNAの塩基置換数から,源流の多くの個体に見られた遺伝子群は,中流以降に多く見られる遺伝子群から約70万年前に独自に進化した特殊な遺伝子群と推定された。源流域はヒゲナガカワトビケラに高い遺伝的多様性を残すために極めて重要な地域であるが,上述したように強く隔離されているため,個体群の存続が困難になっていることが明らかにされた。
    成虫の分散能力が異なるウルマーシマトビケラ(分散力低い),ヒゲナガカワトビケラ(中),オオクママダラカゲロウ(高)の3種を対象に,規模が大きく異なる7つのダム(湖長=0.1〜5km)上下流間の分集団間の遺伝子類似性を調べた。その結果,分散能力が中程度で,一世代当たりの異動距離がダム湖の長さとほぼ一致するヒゲナガカワトビケラのみ,ダムにより地域交流が遮断されている可能性が示された。さらに,ヒゲナガカワトビケラの集団遺伝構造を感度良くかつ安価に調べることを可能にするマイクロサテライト領域を増幅するPCRプライマーを10ペア開発した。本研究により,局所個体群間の繋がりや移動分散パターンに関する理解を深めるツールとして,DNA多型解析は高いポテンシャルを有することが示された。

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  • 年周期性を考慮したダム放流水が河川底生動物相に与える影響メカニズムの解明

    2002年 - 2004年

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

    渡辺 幸三

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    配分額:3500000円 ( 直接経費:3500000円 )

    本研究は河川底生動物に対するダム放流水の影響メカニズムを解明し,河川底生動物相への影響を最小化するダムの運転・管理手法の提案を目的としている.
    本年度は昨年度に引き続き、主にダム湖の上下流側に生息する底生動物個体群のDNA多型をRAPD調査し,ダム湖による生息地の分断化がダム湖上下流間の遺伝子流動(遺伝子の個体群間の移動)の低下に及ぼす影響評価を行った.調査は田瀬ダム,遠野ダム(岩手県),大倉ダム(宮城県),下久保ダム(群馬県),刀利ダム,室牧ダム(富山県)の計6つのダムを対象に行った.これらのダム湖は湛水面積が大きく異なるため,生息地分断の規模が遺伝子流動の阻害度に影響するかの検証に適している.遺伝子流動の阻害の有無は,ダム上下流地点間のNeiの遺伝距離を、ダムで分断された河川に隣接するコントロール河川(ダムで分断されていない河川)の遺伝距離と比較することで評価した.対象種はヒゲナガカワトビケラである.
    解析の結果、6つのダム湖のうち,湛水面積が3.27km^2以上の2つのダム湖において統計的に有意な遺伝的分化が起きていることがわかった.また,遺伝的多様性を低下させる要因として,ダムによる遺伝子流動の低下よりも,各地点の集団サイズの低下がより強く影響していることが明らかになった.これらの研究成果は土木学会第59回年次学術講演会(2004年9月愛知県)で発表し、さらに土木学会論文集への掲載が決定された.

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担当授業科目(学内)

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